
婚活を取り巻く環境は、この10年で大きく変化しました。出会いの手段は多様化し、マッチングアプリをはじめとする婚活サービスを、多くの人が利用する時代へと移り変わっています。こうした背景の中、「マッチングのしやすさ」はどのように変化してきたのでしょうか。
東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)とIBJが共同研究を行い、婚活における「効率」と「構造」の実態が明らかになりました。
本研究は、2014年から2025年までのIBJ結婚相談所の行動データを用い、婚活市場におけるマッチングの構造を分析したものです。
IBJのデータは、年齢・年収・学歴などの信頼性の高いプロフィール情報に加え、お相手検索・お見合い・メッセージ・交際・成婚といった一連の行動履歴が時系列で記録されています。これにより、従来の調査では捉えることができなかった「出会いから成婚までのプロセス」を分析することが可能です。
また、年収や学歴証明、独身証明などの提出が必須のため、婚活者は結婚意欲の高い層に限定されている点も本データの特徴です。
マッチング効率とは
会員の数からどれだけ多くのカップルが成立するかを示す値。マッチング効率が高いほど、より多くの婚約が成立する。
マッチング効率は約3倍に向上
分析の結果、IBJにおけるマッチング効率は2014年から2025年にかけて約3倍へと向上しました。特に2017年以降にマッチング率が上昇し、2020年以降は成婚数も大きく増加しています。
背景には、
- 結婚相談所の統合による規模拡大
- アルゴリズムによるマッチングの改善
- デジタルマッチングサービスの普及
- プラットフォーム性能の向上
などがあると考えられます。
成婚数増加のカギは女性会員

男女それぞれの会員数の変化が成婚数に与える影響を分析した結果、男女でその影響の大きさには明確な差があることが分かりました。
女性会員が10%増加した場合、成婚数は約8%増加するのに対し、男性会員が同じく10%増加した場合、成婚数の伸びは約3%にとどまります。
つまり、単純に会員数が増えれば成婚が増えるというわけではなく、どちらが増えるかによって結果は変わるということです。特に女性の増加は、成婚数を押し上げる効果が大きいことが示されています。
さらに注目すべきは、この男女差が年々広がっている点です。婚活市場は、「人が増えた分だけ成婚者が増える」という単純な仕組みではなく、男女どちらが増えるかによって結果が変わる、偏りのある構造になっているといえます。
地域別で見ても同じ傾向
マッチング効率の傾向は特定の地域に限ったものではありません。関東・関西・東海といった主要エリアで比較しても、いずれの地域でもマッチング率は向上しており、基本的な構造に大きな違いは見られませんでした。
なかでも関東はやや高い水準を示していますが、男女のマッチング効率の違い自体は全国でほぼ共通しています。
まとめ
会員数の増加やプラットフォームの性能向上などの複合的要因により、マッチング効率はこの10年で大きく向上していることが明らかになりました。特に近年は、男女のバランス変化に対する影響に差が生まれ、女性側の動きが成婚数をより左右する傾向が強まっています。
現在はマッチングの精度そのものが高まり、より効率的に出会いが生まれる環境へと変化しています。
出典:大谷克. “Nonparametric estimation of matching efficiency and elasticity in a marriage agency platform: 2014–2025” Economics Letters, Vol. 247, 112196 (2025/2026).
元の論文 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165176525004549